両側中等度感音難聴に対して2年前から耳掛け型補聴器を両耳装用している。昨日、左補聴器から「プツプツ」と音がしてから聞こえなくなったが、今日は元通りに聞こえるようになった。補聴器特性図(1:60dBSPL入力時、2:90dBSPL入力時、3:100dBSPL入力時)を示す。聞こえなくなった原因として最も考えられるのはどれか。
a.補聴器の電池切れ
b.補聴器本体の故障
c.補聴器のチューブ断裂
d.補聴器のチューブ内の水滴
e.補聴器のハウリング抑制機能の影響
正答) d
補聴器の問題だが,今まで出題されたことない内容.
ここで,解説を見る前に諸君には,補聴器の特性図からファンクショナルゲインを計算し,補聴器の調節が適切か,圧縮率はどうかを計算して判断してほしい.
出来た人から,次の解説を読むことをお勧めする.
できましたか?では次に進んでください。
本症例では,純音聴力検査が示されていないが中等度難聴とあるので,仮に60dB程度と想定すると,特性図からファンクショナルゲインは20-25dB入っていると考えられる.
よって,装用下閾値は60-20~25=35~40dBとなり,ハーフゲインは届いていないが,まずまず補聴できている.
圧縮=90dBSPL入力- 60dBSPL入力は20(±3)程度なら適切である.
本症例では100-80=20dBなので適切
以上から,補聴器の調整,フィッティング自体に問題がないと分かる.
では,プツプツ音の原因であるが,以下が考えられる.
今回は翌日には何事もなく聞こえる様になっているため,電池切れはないだろう.出口については選択肢になく,チューブは断裂したら翌日に復活するわけがない.
従って,湿気=チューブ内の水滴による一時的なものであると考えられる.
補聴器の診療は、耳鼻科医としては当然できてしかるべきものです。
しかし、専攻医の中には、補聴器のフィッティングや適応について、いまいちよく分からない人も多いでしょう。
本問の解説でやってもらったファンクショナルゲインの計算ができない人や補聴器の調整が適切かを見分けられない人は、非常にマズいです。
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もちろん、ファンクショナルゲインの計算方法が分かり、補聴器の調整が適切かを判断できるようにもなります。
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