【知らないと損!?】医師が教える「医療費の負担を軽くする4つの制度」

医療・医学

今回は、医療費の負担を軽くする4つの制度について解説します。

対象となっているのに、利用していない人は、確実に損しますので、これをみて勉強していきましょう!

そもそも国民皆保険制度とは

日本は、全員が何かしらの公的保険に加入し、安くて高度な医療を受けられるようになっています。

しかも、受診する医療機関は限定されておらず、自由に選ぶことができます(フリーアクセス)

この「国民皆保険制度」は、1961年から体制が確立し、50年以上も続いています。

日本では、当たり前に思えるこの制度も、海外ではそうではありません。

先進国でも高い民間保険が中心だったり、無保険の国民が多い国もあります。

お金のない人は、まともな医療を受けられない現実が世界にはまだまだあります。

自己負担3割以下で、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる日本は、

実はとても恵まれています。

2000年には世界保健機関(WHO)から、日本の医療保険制度は総合点で世界一位と評価されている素晴らしい制度なのです。

けんぽれんHP」より引用

そんな国民皆保険制度のある日本には、さらに医療費の負担を軽減する制度がありますので、一つずつ解説していきます。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、ざっくりいうと

ひと月あたりの自己負担額に上限がある

という制度です。

実際には、3割なら3割分の自己負担額を病院窓口で一度支払った後に、限度額を超えた分が後から戻ってくる仕組みになっています。

限度額は、年収や年齢によって異なっています。下図をみてください。

厚生労働省HP」より引用

これまたざっくりいうと、ひと月の上限は、

・年収370万円以下    :約6万円
・年収370-770万円  :約10万円未満
・年収770-1160万円:約20万未満
という感じです。
だいたい、入院して何か手術をすれば、10万円は超えることが多いので、
この上限以上のお金は気にしなくていい、ってことですね。
さらに、「多数回該当」という負担軽減の仕組みがあります。
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から上限額が下がります

いくら上限があるっていっても、毎月上限いっぱい医療費がかかるのは、つらいなぁ

と思っても、これに該当すれば、さらに上限額の50~80%まで下がります

1カ月程度の入院、手術で終わる病気はいいですが、
癌など数か月にわたって、放射線治療や抗がん剤治療を行う場合は、毎月高額な医療費が発生してしまいます。
そのような人には、さらに負担を軽くしてあげているんですね。
もう一つ、「限度額適用認定証」を紹介します。これは、
病院窓口で支払う金額を、初めから自己負担額の上限までにする方法です。
先ほど、「自己負担額を病院窓口で一度支払った後に、限度額を超えた分が後から戻ってくる
と言いました。
実際には、3か月後くらいに戻ってきますが、
どうせなら、最初から自己負担額の上限までの支払いで済ませたいですよね。
流れとしては、以下の通りです。

① 限度額適用認定申請書を協会けんぽの各都道府県支部へ提出
② 限度額適用認定証を交付。(発行までの目安・・・1週間程度)
③ 医療機関の窓口で限度額適用認定証を提示。
④ 同一医療機関のひと月の支払額が自己負担限度額までになる。

「協会けんぽHP」より引用

急な入院、手術では難しいですが、予定された入院や手術では、前もって限度額適用認定証を申請・交付してもらうとよいでしょう。

身体障害者手帳

身体障害者手帳とは「身体障害者福祉法」に基づいて、身体障害のある方の自立や社会活動の参加を促し、支援することを目的とした手帳です。

18歳以上の基準を満たす方が対象で、身体障害者福祉法第15条の指定医が診断書を記載することで、申請できます。

交付の対象となる障害は以下の通りです。
○視覚障害
○聴覚障害
○平衡機能障害
○音声・言語機能障害
○そしゃく機能障害
○肢体不自由
○心臓機能障害
○じん臓機能障害
○呼吸器機能障害
○ぼうこう又は直腸機能障害
○小腸機能障害
○ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
○肝臓機能障害
様々の種類の障害がありますね。
等級については、1級から7級まであり、1級に近づくほど重度の障害を意味します。
また、複数の障害を持つ場合、総合的な等級が上がる場合があります。
手帳の交付は、1級~6級までに該当する場合か、7級に該当する障害が二つ以上重複している場合に対象となります。

そして、手帳が交付されると、各種サービスの利用や様々な助成が受けられます。

・医療費の助成
・障害者枠での雇用
・補装具の助成
・障害者住宅改造費(リフォーム費用)の助成
・各種納税の軽減
・交通機関の割引
ここでは、医療費の助成と補装具の助成について、詳しく述べます。

医療費の助成

身体障害者手帳を持っていると、等級により医療費の負担が軽減されます。
しかし、これは国で一律のものではなく、各自治体ごとに異なっています。
【例:東京都在住の方の場合】
身体障害者手帳1級・2級の方(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。)は医療機関での医療費の自己負担が、原則1割になります。
【例:大阪市在住の方の場合】
身体障害者手帳1級・2級の方は、自己負担額が1医療機関ごとに最大500円、月の負担上限額は3,000円(医療費(薬局での負担を含む)・訪問看護利用料合算)になります。
ご自身がお住まいの自治体のHPを調べてみてください。

補装具の助成:補装具費支給制度

義肢・つえ・補聴器・車いすなどの補装具の購入・修理で必要な費用について、原則1割負担で済むようになる助成制度です。
たとえば、耳鼻科医がよく関わる「聴覚障害」について見てみましょう。
成城補聴器HP」より引用

6級は「普通の声の大きさでは、40㎝以上離れると会話が成立しないレベル」です。

聴力レベルでいうと、両側70dB以上になります。

だいたい人の普通の声の大きさが40-60dB程度なので、6級以上では、普通の人の声は聞き取れないことになります。

つまり、補聴器が必須と考えられるため、助成を出しましょう、となっています。

身体障害者用の補聴器は大体10万円未満なので、自己負担額は1万円未満になります。

通常、補聴器の標準価格帯は10万円台なので、それに比べるとかなり安く購入することができますね。

参考:厚生労働省 補装具費支給制度

医療費控除

医療費控除とは、支払った医療費が一定額を超えると、その分所得控除を受けることができる制度です。

具体的には、

実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額(※)-10万円(★)
の分が控除されます。
医療費控除の最大は、200万円です。
※:生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
★:総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額となり、10万円を超えてなくても、医療費控除の対象になります。
  例:総所得金額が160万円→5%は8万なので、8万円を超えた分が医療費控除の対象!
実際にどれくらい税金が安くなるのか、計算してみましょう。
【所得税20%、支払った医療費が30万、補てん金なしの場合】
(30-0-10)×0.2=4万円の税金が安くなる
医療費や所得税が大きくなるほど、税金は安くなるんですね!
医療費控除の対象となる主なものは、以下の通りです。
  • 通院費
  • 医師等の送迎費
  • 入院時の部屋代や食事代
  • 医療用器具の購入やレンタル費用
  • 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義足、義手、義歯や補聴器、松葉杖等の購入費用
  • 6か月以上の寝たきりの人のおむつ代で、医師発行の証明書があるもの
  • 介護保険制度のもとで提供される一定の施設、居宅サービス等の対価
  • かぜ薬などの一般的な医薬品の購入費用
  • 医師の処方箋のある医薬品の購入費用
  • 急な入院のための費用
  • 通院や入院のための交通費
  • 公共の交通機関での移動が困難なときのタクシー代

先ほど紹介した補装具のところにあった「補聴器」も医療費控除の対象となっています。

2018年から対象となりましたが、対象とするには、補聴器相談医の資格を持った医師

認定専門補聴器店に宛てた「補聴器適合に関する診療情報提供書」が必要ですから、

補聴器店に行く前に、必ず耳鼻科を受診してくださいね!

逆に、医療費控除の対象とならないものは以下。

  • 美容整形の費用
  • 健康診断、人間ドックの費用
  • タクシー代(公共交通機関が利用できない場合を除く)
  • 自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金
  • 治療を受けるために直接必要としない近視や遠視のための眼鏡等の購入費用
  • 親族に支払う療養上の世話の対価
  • 親族などへの謝礼
  • 疾病の予防又は健康増進のために供されるものの購入費用(疾病を予防するための予防接種を含む)
  • 入院に伴う、入院に際し寝巻きや洗面具などの身の回り品
  • 自分で希望して個室に入院したときの差額ベッドの料金

要は、病気を治療するために必要な経費でないとダメ!ってことです。

当たり前といえば、当たり前なんですけどね。

参考:国税庁HP「医療費控除の対象となる医療費」

指定難病

指定難病とは、以下の条件を満たす疾患のことを言います。

1)発病の機構が明らかでない
2)治療方法が確立していない
3)希少な疾患である
4)長期の療養を必要とするもの
5)患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しない
6)客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立している

平成27年から、指定難病でかつ、一定以上の重症度のある方には医療費助成が開始されました。

令和3年3月時点で、指定難病は333疾病になっています。

申請するには、難病指定医の資格を持った医師が記載した診断書が必要になります。

申請すると、医療費の助成が受けられます。

自己負担は原則2割になりますが、その上限額は、高額療養費制度よりも遥かに低くなっています。

耳鼻科領域で例を挙げると、「好酸球性副鼻腔炎」という、難治性で手術をしても再発しやすいやっかいな病気があります。

鼻の中にポリープがもこもこできてきて、鼻づまり、鼻水、においが分からない、といった症状を引き起こします。

手術したときは、きれいになるのですが、しばらくすると、またポリープができてきます。

ステロイドという強力な消炎・免疫抑制剤を使えば一時的にはよくなりますが、やめるとまた悪化します。
ステロイドは、長期間服用すると様々な副作用でるので、ホントは、長期間飲ませたくありません。

最近、これに効果のあるIL-4/13受容体モノクローナル抗体という生物学的製剤が販売されましたが、これがいかんせん、かなりの高額なのです。

1本約6.6万円(3割負担で2万)もして、2週間に1回打つので、月約13万(3割で4万)円もするのです!

でも、難病申請しておけば、上限が2万以下になるため、医療費の負担を軽減できるのです。

参考:難病情報センターHP

まとめ

いかがでしたか?どれも医療費の負担を軽くするのに役立つ制度です。

現在、病院に通院していて、対象になっているという人は、是非活用しましょう!

身体障害者手帳や指定難病の場合、万が一担当医が知らなかったり、忘れていたりすると

その恩恵に預かれませんから、自分から積極的にこの対象になるか、医師に聞いていきましょう!

コメント